労務管理ソフト依存症

 最近の労務管理ソフトは大変便利になりました。しかし、便利になったからと言っても記録されたデータや集計結果を見ずにソフトに完全に依存し、そのママ給与計算してしまうのは危険です。何故なら、ソフトの初期設定を行うのは人間ですし、日々のデータを入力するのも人間であり、更に現場では予期せぬ働き方が発生することがあるから知らぬ間に法違反となっているケースがあるからです。労務管理ソフトを利用されている企業さまでも私の事務所に労務管理ソフトの集計結果を毎月ご依頼されている企業さまがあります。

 私の事務所が給与計算を受託している企業さまでも始業終業時刻を記録する際は約10年前から従業員さんがスマホで入力するクラウド式タイムレコーダーを利用していますが、過去の失敗を踏まえて給与計算期間の中頃に必ず記録されたデータをExcelに転記して内容確認を行い、給与計算時には社会保険労務士2名が法的に問題が無いか内容をチェックしています。そして異常がある場合は会社に連絡し事実確認してもらいます。

よくある集計ミスは、

① 日々の労働時間を端数処理した後で月間集計しているケース

② 半日の年次有給休暇取得日に法内残業が発生しても、それが法内残業として計算されてないケース。(時間単位の年次有給休暇を取得できる場合にも多発しています)

③ 1か月単位や1年単位の変形労働時間制などの変形労働時間制に上手く対応して無いケース

④ 入力忘れを防止してくれるソフトでも、本当の業務終了時刻と入力された時刻とが著しく乖離しているのに時間外労働としてカウントされてないケース(初期設定の問題)

⑤ 法定休日労働や深夜勤務の判定を間違えているケース

などがあります。

 労務管理ソフトは便利な道具です。しかし、便利だからと言っても過信してはいけません。労務管理ソフトを適正に運用するためには、データ入力する全従業員を訓練してルールに従い使用することが必要であり、集計結果を必ず人間が確認することが大切です。AIを装具したソフトでも、AIは過去に蓄積した情報を元に判断しますから、自社とネット上で公開されている情報が不十分な場合は適正な判断をしてくれません。そして最終責任は人間にあるコトを忘れないことが大切です。